第5回会議 平成16年11月25日
豊田市農ライフ創生センター視察

1.出張の目的
 農業に関する構造改革特別区域計画、遊休農地対策に先駆的に取り組んでいる先進地の視察

2.出張先
 豊田市農ライフ創生センター(豊田市四郷町)
 児嶋宏之所長

3.出張期日
 
平成16年11月25日

4.出席者
 10名

5.視察の経過
(1)日程
  13:00 農業センター発、仕立てマイクロバスにて移動
  14:20 農ライフ創生センター着 児嶋所長により場内案内
  14:40 JAあいち豊田猿投営農センター2F会議室にて児嶋所長からレクチャー・質疑応答
  16:30 現地発
  18:00 農業センター着
(2)施設概要
  農ライフ創生センター
  職員 市2名 JA1名
  周囲は市中心街のけん騒とは無縁の田園地帯。同センターはJAの倉庫に間借り。施設周辺(農用地区域)は実習農地として賃借、整備中。隣接するJAあいち豊田猿投営農センターの施設も利用。
(3)講義内容 下記

6.所感
 下記

講義内容

豊田市の概況
トヨタ自動車の企業城下町、工都であり、四日市市と同じ類型。
昔は農業だけで養蚕が主。後、(自動織機)・・・戦後、自動車。
まだ農地がたくさんあり、土地改良も多いくらい。2回目を行なっている所は、再圃場化、パイプライン化している。
水稲中心で、圃場整備は水田中心。
市南部は、道路建設が多く、土地収用多い。圃場整備後でも、国道へ高い値で買い取られており、買収を農家は待っている状態。
高齢化が進み、営農組合の受委託が始まった。しかし昨今、転作の助成金が激減し経営苦しく、経営方針の転換が必要。状況が大きくかわるであろう。

農ライフ事業
3年前に開始。当初から特区を想定していたわけでない。
豊田市は「全国一若い(人の多い)都市」と言われていたが、それも昔の話。3年後位から、年2,000人の定年退職者がでる。
高年大学、生涯学習で関心があっても、趣味等であっても農業をするには「農地法の壁」。
豊田市の農地5,000haのうち350ha耕作放棄地、350ha弱不作付地(転作分も含む)を少しでも吸収することができれば、と考えている。

農業特区
豊田市助役の1人は国交省出身、任期末期に本省へ手土産を、と特区を庁内で募集。農業分野で4つ提案、政府へ提出したが、全滅。
その後、農水省からTEL「退職者を遊休農地対策事業に活用、生きがいについて、もう少し話を聞きたい。」。
結局、特定事業に「農地の権利取得後の下限面積要件の撤廃(最小10a)」を採択。
特区申請のためアンケートを作り直す。トヨタ他労組を対象。
趣味程度・自給程度・・・60%
少し収入が欲しい・・・・2.7%(・・・くしくも農地を売りたい農家割合と同じ)
当面、市民農園程度で、要望を吸収できるようにしたい。財政上、すぐに整備できないので、民でできる態勢は整えておきたい。・・・「行政・JA以外の農地貸付事業」

農ライフ創生センター
当初、市がするのでなく、法人がするはずだった。将来はそうあるべきである。
研修用大トマト温室、土地の問題で暗礁に乗り上げメドが立たず。2〜3haまとまった土地が必要で、整理を絡めると用水などだけでは済まなくなり議会から「やめておけ」。
今後の検討材料である。
他、色々あるが、市長からは「2〜3年で課題を整理するようにやれ」と言われている。

研修事業
担い手づくりコース:36人在籍。やむを得ぬ理由で1人やめ、1人長期休み。10,000円/年
旬の野菜づくりコース:春夏野菜科、秋冬野菜科各半年単位、5,000円/年。
市内の会社は退職期が月末ごとであるので、「来年まで待て」ではかわいそう、「途中から」では大変。担い手コースのためのツナギでもある。
2年目は、将来に10a以上の農地を使って農業をする人へは農園を貸して、管理を任せるつもり。
開所して7ヶ月、研修がいやで辞めていった人はいない。
管理状況をチェックして、農業委員会会長が審査して修了証を出し「免許皆伝」とする。
2年で卒業してもらい、3年目は次の人もあるので認めない(聴講生等で対応できないか、考慮中)。

農地を利用するにあたって
豊田市の農地はあまりにも高価で、個人では購入するには高い経済力がないとできない。先述のとおり開発圧力が高い。1,000万〜2,000万円/10aくらいの値。売りたいときは坪1万円くらい。
市、JAがするのか、組合がするのか、ともかくレンタル制度が作られなければならないかもしれない。
今のところ、農地のあっ旋は市が行なう。市が調整、ピックアップして貸す。
水稲作付けの集積のため、毎年アンケートをおこなっている。法人が引受け手として農業すること、遊休農地を減らすことがテーマ。法人が使わないような農地を個人に任せる。

このようにして、遊休農地700haで維持されていれば御の字。
将来は、市が静かに撤退するのが理想である。

質疑応答

Q.退職者が10aの農地を購入すると、歳を取って10年後、やめるかもしれない。将来、農地が細分化される心配があるが?
A.相続で既に細分化されている状態である。本来の目的からすればおかしいところで納税免除を利用しているものもあり、この方が問題である。農業をやる気があるにやってもらえるのなら、細かくなってもよい。2年間研修していればやる気ある人ふるいにかかる。
Q.「地元産の野菜がよい」という動きはあるか?。研修参加者に食品・飲食関係者はいるか?
A.ない。いない。構想はあるようである。
Q.作った野菜等を売る方法は?はけそうなのか?
A.直販を考えている。JAは直売所を増やす意向である。市民は農ライフ創生センターで朝6時から売れ、通勤途上で買うという声がある。研修でできた農産物をどのように販売するか、お金に代えるか研究中である。今現在は研修生で持ち帰っている。「農ライフ」というブランド名が確立できないかと思っている。
Q.特区1001「企業の農業参入」の進み具合は?
A.思うように進んでいない。ある企業が、食堂の残さで肥料を作り、それで作った野菜の納入を考えていた。環境問題に取り組んでいるイメージを与えようというものである。しかしいつのまにか、ミミズの養殖に話がずれていってしまっている。
Q.事業のための市の予算(整備費のこと)は3,000万円とのことだが、現在はどのようなものか?
A.アンケート等の事務費(100〜120万円)を除いて、15年度は200万円前後。給料は入っていない。16年度は2億4,000万円程度を要求→3,000万円。17年度は改築があるので5,000〜8,000万円位を要求。しかし1,000万円は削られるであろう。
トラクター、耕うん機の購入予算は、16年度4月から早速、流用した。20馬力トラクター定価220万円を、中古50万円でJAから購入。

特区、事業他、こんなことができるのも今のうちである。たまたま豊田市がこのような事業を行なっているだけであり、豊田市がこんなことをしているというPRでまずは(十分)。研修生は市民でなくてもよい。卒業生はどこで農業をやってもらってよい。失敗してもよいと市長が言っている。

所感
 先方へ到着時、施設の見た目が(当市農業センターと比較して)やや頼りなく、率直に不安を感じた。しかし事業展開を熱く語る児嶋所長の話を聴くうちに、豊田市の農業の問題点を把握、整理して、将来のあるべき姿に向けて、まずは前進しようという意気込みが十分に伝わった。実習するフィールド、バックアップ態勢、制度が充実していれば、職員の事務、講義等で使う程度の建物は、雨露しのぐことができる程度の仮屋であればよい。行政が直接手を下すのでないと心得て、市民の活力に期待しているのがわかる。
 (直感であるが)一方で所長の言うことは部分的に理想が高く、果たしてどこまでその理想どおりに現実が追いついてくるものなのか、現実とのギャップが生じたときにどうのように対応するのか、所長の描く展望がややリアリティに欠け、硬直的であるように感じられた。
 研修卒業生が管理できそうな農地面積は2〜3aほどで、この制度で遊休農地の解消を図ることは考えていない。あくまでも生きがいづくり、健康づくり、地域づくりの観点からとらえているとの見通しを聞き、厳しい農業の状況を再認識した。