“廃棄物最終処分場跡地”の農業利用について

平成19年3月22日  
アイトム建設株式会社

1.概要
(1)最終処分場の全景
1) (財)三重県環境保全事業団が運営する「北勢事業所」
 「廃棄物」の埋立業務は“2006年8月”をもって完了し、次施設として現在は石原町にて最終処分場を運営しています。埋立廃棄物のジャンルは「産業廃棄物」であり、事業活動によって主に工場から排出された廃棄物を埋立処分しており、最も深いところで30mほどあります。又、処分場としてのスタイルは「管理型最終処分場」といい、廃棄物の接触する法面や底部には遮水シート (ぶ厚いゴム製)を2重に敷きつめ、汚水が地下に浸透するのを防止し、地下水への影響を防ぐ構造となっています。遮水シートをつたって流れ出る汚水についてはすべて調整池に集水され、完全に中和ろ過されたのち河川に放出されています。 処分場東側については既に覆土も完了し、地盤については概ね安定傾向にあり 又、西側においては現在、載荷盛土等を施し地盤の安定化作業を行っている状況であります。西側の覆土は現状では実施されておらず、地盤安定後、随時施工されていくようであります。
2)四日市市が運営する「南部埋立処分場」
 現在処理業務を行っており、主に家庭から出る「一般廃棄物」の埋立処分を行っており、 処分場のスタイルとしては、「管理型最終処分場」で“事業団”と同様の構造となっています。「南部埋立処分場」も将来的には業務完了となり、約13万㎡(影響地域も含めると約22万㎡)という、ほぼフラットな状態の広大な土地が生まれることとなる。

(2)処分場のプロフィールついて
今回対象と考えている「(財)三重県環境保全事業団 北勢事業所」の“処分場跡地”についての詳細を記載いたします。
1)面積      10万㎡(10ha)
2)覆土について  厚み:1m〜1.5m
         土質:山土(農作物育成のための養分はない)
3)廃棄物の種類
 「産業廃棄物」を埋立処分していましたが、埋立する“廃棄物”に対しすべて成分分析を行ってから処分していますので、“劇毒物”のようなものはありません。
4)地盤安定までに必要となる年数
 2〜3年程度で安定化するようです。
5)地盤安定後の計画及び措置
 これから計画を立案していくようですが一般的には覆土後、植林を行い以前の姿に戻し地権者に“山林”として返される。又、過去の事例において、処分場管理運営団体は地権者より当該土地を買取り(地権者にとっては、転売や商業使用が行い難い土地であるため)、最終的にその跡地を自治体に移管するケースが一般的なようです。

2.「最終処分場」を農業利用する場合、考慮するべき事項
(1)堆肥熟成及び貯蔵施設、飼料貯蔵施設、ビニールハウスによる園芸的農業などについて
 1m以上ある覆土の上とはいえ「廃棄物」の上での農作物の育成にはやはり抵抗がありますが、処分場の“土”を使わない農業施設であれば、消費者の理解も得やすいのでは、と考えます。ミルクロードに隣接しているため輸送には適しており、特に農業関連の物流には好条件であると考えられます。又、近隣に民家も少なく“臭い”、“騒音”などの影響も比較的与えにくいなどの有利性もあります。

(2)「牧草」など、間接的に摂取する農作物の栽培について
 覆土(1m以上)の厚みを考えると、その下の「廃棄物」に含まれる有害物を農作物が吸収することは考えにくい、と言う有識者の意見は頂きましたが、やはり不安があります。まずは、“人”が間接摂取する「牧草」の試験栽培を通して、“土壌”、“収穫物”をモニタリングすることで安全性を数値的に証明することが出来ればと考えます。消費者の理解を得るには、いくつものハードルを越えることになりますが、将来問題となり得る(すでに一部問題となっている)食料自給率の向上に関する問題など、「安心・安全」が大前提ではありますが、生産性の高い農地を確保していくことも重要であると考えます。

(3)農業(農地)利用を前提としての跡地利用計画
 前項でも多少触れましたが、最終処分場の埋立完了後の一般的な作業(おそらく処分場開設時に行政、地元、及び法規制等に定められた内容)において進められる、覆土、植林などの作業について、これが農業(農地)利用を前提にしたものであればより合理的な計画を立案することが出来ると考えます。
 例えば、覆土に使用する“土”は可能な限り農業に適したものを使用する
     農業(農地)に利用するのに植林をするのは不合理     など

(4)「最終処分場跡地」の新たな利用法として
 今日における処分場跡地の利用方法を調査してみると、下記のようなものがありました。
 ・公園、遊歩道
 ・テニスコート、パターゴルフ
 ・ゴルフ練習場(民間施設)
 ・未使用のまま荒地となっている
 以上のように公共施設の場合、市民が利用することが前提であるため、安全の確保、トイレの設置、清掃などの環境整備などに毎年経費が必要となります。又、今回対象である“処分場跡地”の近隣にはすでに、「幸福村」、「四日市スポーツランド」、「桜運動広場(テニスコート、グランド)」などレクレーション施設が存在し、これ以上の設置は不合理と考えられます。“最終処分場跡地”を農業(農地)利用しているところは全国的にもまれで、安全性が証明され、ひとつのモデルとなれば後に続く自治体もあるのではないかと推測できます。

(5)最後に
 本“最終処分場跡地”は、営利目的で無い公共機関が運営していたため、処分された廃棄物に関する精度(信頼性)が非常に高く、覆土厚に対しても、どの地点で計測しても規定以上を確保しているなど、信頼のうえでこのようなプランが成り立つのだと考えます。又、部門の違う各行政機関(よく言われる“タテ割り行政”)が実現に向けて連携することができれば(少なからず法律等の壁はあります)、実現は可能だと思いますし、仮に今はダメでも近い将来には、食料流通等の事情も変化し、消費者の考え方も変わり、理解を得られるものと確信します。